2007 Fiscal Year Annual Research Report
奄美諸島方言における社会構造の変容と習俗語彙の変容過程の研究
Project/Area Number |
19520398
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
町 博光 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 教授 (10116668)
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Keywords | 奄美諸島方言 / 習俗語彙 / 社会変容 / 古仁屋方言 / 与論島方言 / 亀津方言 / 和泊方言 / 葬送儀礼 |
Research Abstract |
本年度は、奄美諸島方言の習俗語彙の概要を把握するために、『奄美方言分類辞典』の習俗語彙をもとに、「奄美諸島方言習俗語彙調査票」を作成することがおおきな課題であった。ほぼ素稿ができた段階である。 この素稿をもとに、奄美諸島のうち3カ所に臨池調査にでかけた。すなわち、(1)与論島と沖永良部島和泊 (2)瀬戸内町古仁屋 (3)徳之島町亀津である。 与論島では、習俗語彙のうち、弔いの習俗の一部始終をビデオに収録することができた。この記録自体がおおきな意味を持つ。この中で、弔いの儀礼が、どのような詞を用いておこなわれているのか、一連の流れの全語彙を網羅できれば、それは現在の習俗儀礼と習俗語彙がどのような関係にあるかを明白に語ってくれる資料となる。テープの文字起こしを終了すれば詳細な記録が完成することになる。 沖永良部島では、商工会主催の港祭り行事を観察した。本土並みの「港祭り」がどのような司会者のことば(共通語か方言か)でおこなわれているかに興味があった。ほとんど共通語ばかりでの司会であったが、そのなかに方言が混じることがある。その方言の意味づけ自体が、現在の奄美諸島方言の社会的位置づけの証拠となると考えられる。直接的な習俗語彙の採録ではないが、重要な示唆を得たと考える。 古仁屋と亀津では、資料収集がおもな作業であった。方言が具体的に使用される習俗儀礼は一般の外部の者はなかなか入り込めない。一問一答式の調査になってしまった。調査方法を含めた今後の課題である。
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Research Products
(2 results)