2009 Fiscal Year Annual Research Report
西成瀬の言語教育を中心とした方言と共通語教育の調査・研究
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19520401
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
今村 かほる Hirosaki Gakuin University, 文学部, 准教授 (50265138)
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Keywords | 方言 / 共通語 / 遠藤熊吉 / 標準語 / 国語教育 / 西成瀬 |
Research Abstract |
これまでの遠藤熊吉・西成瀬のことばの教育の位置づけは、「標準語の村」を作ったという、国語教育における標準語教育の成功例の象徴としての西成瀬というものであった。本研究は、そういった象徴としての遠藤熊吉・西成瀬ではなく、当時の国語教育的テキストの上に、遠藤熊吉の教育理念や実践を位置づける取り組みである。本年度は、これまで収集した文献資料を中心に、(1)教科書教材のデータベース化と、(2)国語教育関係雑誌や音声研究のデータベース化を中心に行った。 (1) 教科書教材のデータベースでは、戦後の検定教科書における方言と標準語・共通語を扱った教材の教材名・筆者・教科書番号などのデータベースと、教材の本文そのものデータベース化を行った。これまで、公開されているデータベースやOPACでは、所蔵資料に限りがあったり、教科書を所蔵していても外部から利用できるデータベースになっていないものが多かった。また、公開していても教材名で検索できなかったり、できても教材名に「方言」や「共通語」などのキーワードを含むものの検索は可能だが、内容として方言と共通語を含むものであっても教材名にはキーワードを含まないものは、検索できなかった。これまで教科書教材の実物を収集し、それに基づいてデータベース化したため、現時点で最も広汎で精度の高いデータベースが作成できた。 (2) 遠藤熊吉は、当時の国語教育や音声学の世界において、どのように位置づけられるものなのかという観点から、国語教育関係雑誌を中心に文献収集し、データベース化をした。その結果、地元秋田だけでなく、全国規模であくまで方言を矯正するまたはなくすことを目的としたり、国語の純化のために方言をなくすことのための国語教育が行われる中で、方言の存在価値を認めていた遠藤の立場は、異彩を放つものであったことが確認された。現在、これらをWEB上に公開する作業中である。
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