2009 Fiscal Year Annual Research Report
定住インドネシア人就労者のライフコースと日本語習得についての研究
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19520466
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
吹原 豊 Ferris University, 留学生センター, 講師 (60434403)
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Keywords | ライフコース / 日本語習得 / 定住インドネシア人就労者 / インドネシア人社会 |
Research Abstract |
研究3年目にあたる平成21年度も、前年度に引き続き、インドネシア人キリスト教会での参与観察を重点的に行った。平成21年度中にインドネシア人キリスト教会のひとつで牧師の交代式があったため、その行事にも参列することによって、新しく着任する牧師との間に信頼関係を構築すべく努めた。また、すでにラポールが形成されている複数のインドネシア人就労者の家庭を訪問し、家庭内の言語使用の実態について観察を継続的に行った。加えて、インドネシア人就労者の日常生活における言語使用の実態を把握するため、病院や役場、買い物などに同行し、参与観察や関連する聞き取りを行った。8月には大洗町とその近郊で働く大部分のインドネシア人の出身地であるインドネシア、ミナハサ地方に赴き、日本での就労経験者をはじめその家族、友人などの関与者を対象とした聞き取りを行った。日本での経験を現地での起業に生かしている例が多く見られたため、日本での異文化体験で得たものについてのライフコース論の観点からの聞き取りを中心に行った。現地調査の際には全体の日程のうちの何割かを日本での就労経験者の自宅での滞在に費やし、参与観察を行いながら現地社会・文化の理解に努めた。また、3月には再びミナハサ地方を訪れ、乳児期に来日し、小学校高学年で帰国したインドネシア人男児を対象とした聞き取り等を行った。その他には、大洗町のインドネシア人社会との比較事例として、愛知県西尾市および韓国安山市のインドネシア人社会を訪問し、聞き取りを始め教会活動の際の参与観察等を行った。いずれのインドネシア人社会においても訪問回数が数を重ねるにつれてより強固なラポールが形成されてきている。研究成果の還元という点では、韓国のインドネシア人社会における言語習得をテーマにした雑誌論文を発表し、内容的に関連するテーマでの学会発表を1回行った。また、7月にオーストラリアで行われた日本語教育国際研究大会において、大洗町でのフィールドワークの成果を発表した。さらに、3月にマナド工科短期大学で行われた国際セミナーにおいて、研究成果の現地社会への還元という意味合いを込めての発表を(インドネシア語を用いて)行った。セミナーの全体テーマが「教具・教材」であったため、それに合わせる意味合いから基本語彙データベースの活用をテーマにした発表になったが、その中で大洗町でのフィールドワークにおける活用例を紹介できた。
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Research Products
(4 results)