2007 Fiscal Year Annual Research Report
ワーキングメモリ機能のシステムとして捉える言語学習機能-そのモデルの確立と実践-
Project/Area Number |
19520505
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
板垣 文彦 Asia University, 国際関係学部, 教授 (10203077)
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Keywords | ワーキングメモリ / 乱数生成課題 / TOEIC / シャドーイング |
Research Abstract |
3年計画の1年目にあたる本年度の目的は、予備研究で示唆されていた英語能力(TOEIC)と乱数生成課題によって測定される複数のワーキングメモリ指標との関係について、その関連を縦断的に確認することであった。実験を設定した教職演習科目履修者12名について、9ヶ月間に9回の乱数生成課題を実施し、現在過去に収集した分と合わせて分析中である。また、生成する数を1から9とする新しい乱数生成課題では、それらの指標と脳の前頭葉機能活性との関連が明らかになっていたことから、大学2年から4年までの英語教職課程履修者37名を対象にTOEICと乱数生成課題を実施し、横断的に脳機能研究の観点から分析中である。現在までのところ、乱数生成課題の生成速度がTOEIC下位得点のReadingと正の相関、Listeningと負の相関傾向を示した。これは、乱数生成課題に個人の学習能力よりも概念表象からエピソードの構築、意味の理解という一連の情報処理スタイルが反映されていることを示す知見であると考えられる。この問題との関連あると考えられる乱数生成課題生成方略の男女差については、統合失調症患者データとの類似性から理論的検討を行い、学会発表をおこなった。男性の方が女性に比較して音声よりも空間的、系列よりも構造的な記憶構築を行う傾向が示唆されている。また、乱数生成課題に特化されたワーキングメモリ・モデルから示唆されるシャドーイング学習の有効性について学内発表を行い、実験的授業への理解と共同研究への参加を呼びかけた。実験手続きの効率化のために計画していた音声認識による実験システムは、開発研究が遅れたために今年度の導入を延期し、実験補助者による実験回数を増やす方法に切り替えた。
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Research Products
(2 results)