2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520510
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 久美子 Tamagawa University, リベラルアーツ学部, 教授 (60154043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶川 祥世 玉川大学, 脳科学研究所, 助教 (70384724)
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Keywords | 音声言語発達 / 歌 / ワーキングメモリ / 音韻ループ / 英語教育 / 子供 |
Research Abstract |
単語を反復する能力と語彙発達が密接に関わることが明らかにされてきた(Gathercole&Baddelev,1989)。英語の4歳〜8歳の母語児では、反復力のあるものは語彙サイズが大きく、日本語母語児に関しても、3〜4歳時の無意味語反復能力は語彙サイズと相関が高い(佐藤・兼築,2007)。そこで、外国語学習においても歌を通して単語を一定期間反復聴取することは、音声言語発達を促進し、第二言語習得において効果的であると推測される。 この仮説に従い、2歳6カ月〜3歳6カ月の幼児と6歳〜11歳の児童を対象として一定期間歌を聴取させ、歌に含まれる語及び歌に含まれない語について、言語反復力及び発音力が促進されるかどうかを調査した。 調査内容は、一日目に日本語・英語の反復テストを行い、発声をwavレコーダーに録音。2歳児は日本語版マッカーサー乳幼児言語発達質問紙、3歳児以降はPVTを使用し語彙年齢を推定した。2〜15日目は家庭で英語歌2曲を一日2回ずつ聴取してもらい、16日目に1日目と同じ英語リストを反復・録音した。その結果、幼児については、英語の反復スコアは2回目が高く、約2週間の英語歌聴取により、歌詞に含まれていた語・含まれていない語の両方の認知が容易になり、非母語単語の認知・即時再生力に対する歌聴取の効果を示唆した。また、母語の語彙知識が非母語の音声処理に大きな影響を与えないことが判明した。一方6歳〜11歳の児童では、英語語彙年齢と英語音声反復力には正の相関があるが、日本語音声反復力と英語音声反復力には関係が見られず、これらの結果から、幼児では音声レベルでの処理が優位であるのに対し、児童では語彙知識により処理が影響を受けることが明らかになった。すなわち、歌の聴取・学習が単語に与える影響も、年齢により違いが見られ、今後、さらに年齢と歌の学習効果の継続的に観察を行っていく。
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Research Products
(10 results)