2009 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語語用能力の習得における気づきの役割と個人差要因の影響
Project/Area Number |
19520518
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
高橋 里美 Rikkyo University, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (10284564)
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Keywords | 英語 / 依頼表現 / 英語習熟度 / リスニング / 談話完成テスト / ディクテーション / 動機づけ / ビデオ |
Research Abstract |
本研究は、日本人英語学習者が「二節から成る英語依頼表現形式」を暗示的インプット状況で学習する際、当該言語形式の気づきの度合いと習得がどのように関係し、その認知プロセスに学習者の動機づけと英語習熟度(リスニング力)がどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることを目指す。同目的達成のため、今年度は、昨年度後期に続き、前期に第2回目の本実験を実施し、後期には統制群からデータを収集した。その後、3学期に渡って収集したデータを分析した。 具体的には、SLEPを使って実験群被験者(40名)のリスニング力を測定し、事前DCTを実施後、3週に渡ってビデオ・ディクテーション(VD)活動を施し、その後、事後DCTおよび動機づけアンケートを実施した。さらにVDタスクのパフォーマンスと事後DCTにおけるパフォーマンスの関係を探るためのアンケートも実施した。統制群被験者(27名)にはSLEP、事前・事後DCT、動機づけアンケーを実施した。データ分析については、まず動機づけアンケートのデータを因子分析にかけ、4因子を特定した。対象依頼表現形式の気づき度と習得度についても数量化した。動機づけ因子、リスニング力、対象依頼表現形式の気づき度および習得度の関係について3つの仮説(モデル)を立て、AMOS18を使って共分散構造分析によるパス解析を実行し、当該要素間の因果関係を検証した。結果としては、動機づけ因子のひとつであるクラス志向因子とリスニング力のみが対象依頼表現形式の気づきに直接影響を及ぼすことが判明した。しかし、対象依頼表現形式の気づきはその習得には繋がらず、暗示的インプット状況下での語用言語形式の習得の難しさが浮き彫りになった。 また、今年度は、本研究の関連分野においてどのような研究が現在行われているのかを探るため、米国応用言語学会年次大会(アトランタにて開催)に参加した。
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