2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520551
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
遠藤 芳信 Hokkaido University of Education, 教育学部, 教授 (70125368)
|
Keywords | 兵站体制 / 戦時編制 / 朝鮮壬午事件 / 1882年戦時諸規則 / 1885年戦時諸規則 / 出師準備管理体制 / 日清戦争 / 1894年兵站勤務令 |
Research Abstract |
平成19年度の研究実施計画は「日清戦争期からの兵站勤務令・戦時編制・陸軍動員計画令の令達関係未公刊文書を分析し、兵站統轄と兵站関係諸機関設置の側面から補給・兵站体制構築の特質を解明する」ことにあり、その研究実績の概要は下記の通りである。 1.兵站勤務令・戦時編制・陸軍動員計画令の系譜・前身に連なる関係文書を詳細に分析し、特に、1882年朝鮮壬午事件への日本陸軍の対応との関係で、(1)1882年8月に頒布された戦時諸規則における兵站・給与・輜重・輸送体制のありかたと実際の演習、(2)「朝鮮事件臨時予算差引表」(同年9月の陸軍省概算)では、糧食費(22%)・被服陣具費(14%)・運送費(33%)の合計が69%に達したことを考察し、兵站体制構築における輜重・輸送(予備軍・輜重諭卒の召集も含む)に関して深刻な課題を残したことを解明した。朝鮮壬午事件への日本陸軍の具体的な対応(参謀本部設置後の最初の動員)は未解明であったが、本研究によりようやくその基本が解明されるに至った。 2.1885年1月頒布の戦時会計部服務規則や戦時病院服務規則等の戦時諸規則及び兵站関係文書を分析し、糧食供給における現地調達思想や戦線・戦場の死傷者運搬・収容体制を考察し、軍備拡張と軍隊編制改編に対応した1884年鎮台出師準備書仮制定を基本にして出師準備管理体制が成熟したことを解明した。 3.防衛研究所図書館所蔵の日清戦争前後の兵站勤務関係未公刊文書を調査し、特に、「明治24年4月改正兵站勤務令草案」「明治27年野戦監督部勤務令」「明治26年輜重監視隊勤務令草案」や『明治27年兵站部条例』及び『明治27年6月 臨時事変ニ関スル書類綴』等を分析し、1894年兵站勤務令に関する策定・制定過程の確認・考察を実施した。これらの確認・考察は近代日本軍制史研究上では最初である。
|
Research Products
(3 results)