2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520551
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
遠藤 芳信 Hokkaido University of Education, 教育学部, 教授 (70125368)
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Keywords | 日本陸軍 / 戦時動員計画 / 兵站体制 / 兵站勤務令 / 日清戦争 / 戦時大本営編制 / 随意契約体制 / 朝鮮国内兵站線構築 |
Research Abstract |
本研究課題は、日本陸軍の動員計画策定における補給・兵站体制構築の特質を、1.動員計画令、2.兵站勤務令、3.戦時補充令、4.野外要務令、輜重兵操典、5.日清・日露における補給・兵站勤務活動の実際と教訓化の側面、から解明することであったが、下記の3点を解明した。 第一に、1894年兵站勤務令については、1891年戦時編制草案と1891年兵站勤務令起草文書の起草過程及び1894年戦時大本営編制等の起案過程を中心にして分析した。特に、1894年兵站勤務令は日清戦争開始前の陸軍主導の帝国全軍構想化路線の下に起案されたものであったが、その戦時海運業務は海軍の同意を得ることができず、その結果、陸軍側は同業務を削除して裁可・制定されたことを解明した。第二に、補給・兵站体制の財政的基盤を分析し、特に日清戦争期の諸予算編成と会計経理にかかわって、経常費と臨時費との区分措置、臨時・戦時給与関係区分、運送船購入における軍事優先化の随意契約の会計経理導入、野戦軍の糧食等購買における随意契約体制の特質を解明した。第三に、日清戦争開始期の第五師団の動員と混成旅団の兵站勤務開始を考察し、特に、国内の兵站監部成立と補給・追送輸送・運搬体制や下関集積場の業務や朝鮮国内の特に仁川・龍山間の兵站線構築を検討し、仁川港を中心にした兵站体制構築における現地の日本居留地総代や商業会議所が兵站給与や人夫供給に果たした役割を解明した。 以上の解明は日本近代史研究、特に軍制史研究の発展に大きく貢献するものである。 なお、以上の研究実績は研究成果報告書として「日本陸軍の戦時動員計画と補給・兵站体制構築の研究-1894年兵站勤務令の成立と日清戦争開始前までの兵站体制構築-」(A4版、総ページ数58ページ)という冊子を印刷・製本し、大学図書館等に配布・寄贈した。
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Research Products
(3 results)