2007 Fiscal Year Annual Research Report
世紀転換期における国民・ジェンダー規範の形成-トランス・ナショナルな視点から
Project/Area Number |
19520562
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
加藤 千香子 Yokohama National University, 教育人間科学部, 教授 (40202014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 順光 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (80334613)
松原 宏之 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (00334615)
小玉 亮子 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 准教授 (50221958)
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Keywords | トランス・ナショナル / 世紀転換期 / ジェンダー / 世代 / 日露戦争 / 帝国 / 青年 |
Research Abstract |
本プロジェクトでは、19-20世紀転換期の日本及び英米独各国において、スタンダードな「国民」「市民」規範が形成される過程を、ジェンダーや世代などの「差異」構築のありようとともに検証することを目的としているが、本年度においては、共同研究の基礎となる資料収集に力を入れるとともに、研究代表者・分担者がそれぞれが分担した各国に関して史料収集と分析につとめ、それぞれが成果をあげている。 共同研究の基礎となる資料としては、当該期に日本で発行された月刊総合雑誌『太陽』、中央報徳会発行の『斯民』を取り上げ、それらの誌面にあらわれる海外に関する情報・紹介、論説などを網羅する作業を進めた。 一方、代表者・分担者それぞれ個別の研究では、以下のような研究成果があげられた。まず、日露戦争後における日本の「帝国」化推進の担い手形成過程において、対外的な関連のうえに、女性・男性像、世代観念-「青年」に代表される-が構築されたことが具体的に明らかになった。 また、日露戦争期の日本軍の衛生政策が、英米それぞれの軍事面において異なった影響を及ぼしたことについても新しい史料とともに明らかになり、これも大きな成果といえる。 総じて、日露戦争が、文化面や諸政策面において、日本のみならず各国の相互連関を引き起すとともに、相互に影響を及ぼしあっている状況の一端が具体的にみえつつある。この点について、さらに今後実証研究を進めながら、また、それらの相互関連性のなかでそれぞれの社会や政治文化の変容-とりわけジェンダー・世代等-をとらえていくことが、今後のプロジェクトの課題となる。
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Research Products
(12 results)