2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520581
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 史生 Kanto Gakuin University, 経済学部, 教授 (50308318)
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Keywords | 慧萼 / 東アジア史 / 日本古代史 / 交流史 / 仏教史 / 国際交易 / 在唐新羅人 / 唐商人 |
Research Abstract |
初年度となる本年度は(1)中国江南地域の現地調査、(2)慧萼関連史料の収集作業、(3)慧萼関連研究論文の収集作業、(4)慧萼関連史料の文字データの打ち込み作業を行った。とりわけ(1)の中国江南地域を中心に行った現地調査では、(2)(3)の作業とも結びつく様々な成果を得ることができた。 その主なものをあげると、(1)現在比定されている浙江省普陀山の新羅礁の位置について、史料的な課題がいくつか残されていることを確認できたこと、(2)会昌の廃仏後の明州開元寺の位置がほぼ特定できたこと(これまでの比定には誤りがある)、その一方でそれ以前の開元寺の位置を特定するのは困難であること、(3)慧萼が利用したと思われる塩官から長江までの運河が確認できたこと、(4)金石文等で確認できる蘇州南禅寺は再建されたもので、いずれも唐代まで遡ることができず、その位置を特定するのが困難であること、(5)慧萼が蘇州において立ち寄った唐代の武丘東寺が現蘇州市霊岩寺内の東側に比定できること、(6)海寧市塩官文物保護管理所において、安国寺跡会昌2年経憧拓本の写真を入手できたこと、などである。これらの成果は、今後の史料注釈・研究論文作成に反映せる予定である。またこの調査を通して、関連調査機関・研究者との協力関係を築くことができたのも大きな成果であった。 (2)については、従来知られていたもの以外にも関連史料があることが確認できたので、今後も、これらの探索・収集をすすめていきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)