2007 Fiscal Year Annual Research Report
宗教弾圧がネップ体制成立に及ぼした影響に関する研究
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19520624
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
梶川 伸一 Kanazawa University, 文学部, 教授 (50194733)
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Keywords | 21年飢謹 / ロシア正教会 / チーホン / トロツキー / レーニン / 教会資産収用 |
Research Abstract |
宗教問題と21年飢饉の関連について、次のことが明らかとなった。 1.飢餓民援助は通常マクシム・ゴーリキィの呼びかけ(21年8月)から始まったといわれているが、実際にはそれ以前にロシア総主教チーホンによるアピールが行われるが(同年7月)、このことについてほとんどの研究書は沈黙している。 2.当初はソヴェト政府はチーホンを中心とする宗教団体の飢餓民援助活動に対して容認する姿勢を取っていた。 3.飢饉の下で様々な地方で雨乞いなどの宗教活動がこれまで以上に民衆の間に広がっていた。 4.21年末に美術館、博物館などの貴重品が国有資産として国家委員会に移管する旨の布告が出されて以後、教会貴重品の収用問題が党中央委の議事日程に上る。 5.飢餓民援助に関する問題は、ヤーコヴレフ特別委を中心に立案と審議が行われてきたが、教会資産の収用と、直接的弾圧に関してその主導権をトロツキーが掌握するようになり、彼が教会弾圧の中心的人物となった。 6.22年2、3月にロシアで本格的教会資産収用が開発される以前に、まずこの方針が適用されたのは、辺境民族地域、タタール共和国であった。 7.ロシア全体で教会資産収用が進捗しない中で、チーホンへの圧力が強まったこと、この過程で徐々にゲー・ペー・ウーの活動と密接に結びつくようになった。 8.最終的に3月19日づけモーロトフ宛のレーニン書簡が教会弾圧の決定的原動力となった。
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Research Products
(2 results)