2007 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ第三帝国下のユダヤ人との「混血」イメージの変遷に関する研究
Project/Area Number |
19520634
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長田 浩彰 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (40228028)
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Keywords | 混血者 / 混合婚 / 反ユダヤ主義 / ナチ第三帝国 / 人種主義 / 反ユダヤ映画 / ユダヤ人ジュス / 人種混交 |
Research Abstract |
本年度は、第三帝国下でのドイツ人とユダヤ人の「人種混交」に関する住民意識を調査するために、以下の研究を行った。 1.ナチの人種政策局が編纂していた雑誌のVolk und Rasseや、ワイマル期から出されていたArchivfur Rassen-und Gesellschaftsbiologie、ナチ党員シュトライヒャーが編纂したDer Sturmer、ナチ親衛隊の機関誌Das Schwarze Korpsなど、既に購入済みだったものや新規に購入したマイクロフィルムを利用するため、マイクロフィルムスキャナを購入し、Volk und Rasseの記事内容から分析を始めた。 2.悪辣な人種汚辱者というユダヤ人イメージを住民に広めることに貢献したと思われるナチ時代の娯楽映画「ユダヤ人ジュス」を、アメリカのビデオ業者から購入し、本映画を含めたナチ時代の反ユダヤ映画に関する研究文献を収集した。この映画は、実在した18世紀の宮廷ユダヤ人ヨーゼフ・ジュス・オッペンハイマーのヴュルテムベルク公国における活動と処刑を扱っているが、本来の彼の処刑理由とはならなかった「人種混交」を、この映画では唯一の処刑理由としていることがわかった。平成20年3月15,16両日に鳴門教育大学で開催された西日本ドイツ現代史学会において、本映画の上映と映画の解題を行った。 3.史料収集のため、ハンブルク現代史研究所とベルリン工科大学反ユダヤ主義研究所を訪れた。ハンブルクでは、ナチ期を国内外で生き残った人々に対して1990年代から歴史家が行ったインタビューが収集されているが、その中から、「2分の1ユダヤ人」に関するインタビューを読み、必要なものを収集した。ベルリンでは、同研究所が所蔵するナチ時代の映像資料を閲覧し、「ユダヤ人ジュス」をはじめ、必要なもの数作をDVDでコピーした。 来年度は、上記のマイクロフィルム資料の分析と、インタビュー資料内容のさらなる分析を進め、この1年半の成果を学会や研究会で報告したい。
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Research Products
(1 results)