2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520662
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小林 謙一 Chuo University, 文学部, 准教授 (80303296)
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Keywords | AMS炭素14年代測定 / 縄紋時代 / 竪穴住居のライフサイクル / 火災住居 / 住居の埋没・遺構の使用期間 |
Research Abstract |
平成20年度は、縄紋時代の居住期間、特に竪穴住居の構築・使用・廃絶の時間経過を研究する目的で昨年度調査の福島県井出上ノ原遺跡調査の整理・分析および年代測定研究を進め、さらに神奈川県相模原市大日野原遺跡の縄文時代中期集落の発掘調査を行った。そのほかに、比較資料として山梨県北杜市梅之木遺跡、長野県辰野町羽場先遺跡等の火災住居材・集落出土炭化材の年代測定を行った。この他、葛原沢IV遺跡等で縄紋草創期住居の年代測定も行った。 今年度主に行った縄文中期竪穴住居使用期間の研究としては、井出上ノ原遺跡45号住居では、床面・炉内・柱穴内から覆土下層・中層・上層の各炭化物を20点年代測定し、その分析を行った。その結果、昨年度測定分と合わせて同一遺構内の試料30点以上を測定したことになる。床面関係の資料はおおよそ4100年前、覆土下層・中層は4000年前、覆土上層は3800年前の年代が多く、予想以上に長期にわたる土層堆積期間が推定された。そのため、比較資料として同時期の縄紋中期竪穴である梅之木遺跡住居炉内・覆土中炭化物を測定し、この例では短期的な埋没が予想されること、羽場先遺跡縄紋中期火災住居では複数の構築材はほぼ同一の年代測定値であり、住居構築は短期間に行われていることが推測された。竪穴住居使用・廃絶の多様なあり方が反映されている可能性があり、さらに事例を増やして検討する必要がある。その一環として、相模原市大日野原遺跡の調査を相模原市博物館の協力を得て実施し、縄文中期後半竪穴住居の存在を確認したので、次年度に計画的な調査と年代測定用試料採取を行い、検討を深めることとした。出土土器や土壌の分析とともに炭化物・種実などの年代測定可能試料をドット調査および水洗選別で取り上げ、各層位複数例以上の測定を行って、住居の使用・埋没のライフサイクルの解明を行いたい。
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Research Products
(7 results)