2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520662
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小林 謙一 Chuo University, 文学部, 准教授 (80303296)
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Keywords | AMS炭素14年代測定 / 縄紋時代・縄文時代 / 日本 / 考古学 / 竪穴住居跡の埋没・遺構の使用期間 / 縄紋集落遺跡形成過程 |
Research Abstract |
平成21年度は、縄紋時代の居住期間、特に竪穴住居の構築・使用・廃絶の時間経過を研究する目的で平成20年度調査の福島県井出上ノ原遺跡調査の分析および年代測定を進め、昨年度調査の神奈川県相模原市大日野原遺跡発掘調査を継続した。そのほか、連携研究者の坂本稔・松崎浩之らと共同で北海道キウス5遺跡の盛土状遺構出土資料、青森県二股(2)遺跡の前期末葉遺跡出土炭化材と土器付着物、栃木県曲田遺跡の古墳時代住居構築材の年代測定および解析を行った。また連携研究者の遠部慎らと岡山県犬島貝塚の年代研究を行った。 キウス5遺跡では住居以外の縄紋集落構成要素として盛土遺構を層別に測定し長期にわたる形成を確認した。二股(2)遺跡では年代測定値の検証として層別に炭化材と土器付着物を比較し海洋リザーバー効果を検討した。曲田遺跡ではウイグルマッチを行い、精緻な年代測定を行った。 大日野原遺跡発掘調査では、縄紋中期後半竪穴住居6基を確認した。最も新しい1基について石囲炉上の炉を発掘し、曽利III式期の住居と確認したほか、トレンチ断面において縄紋中期勝坂2式、同3式、加曽利E1式、曽利3式期の住居群の重複を把握した。各住居の覆土中包含の炭化材を採取し、年代測定を行い、炭素年代で4500BPから4100BP較正年代でおおよそ5200年前から4700年前くらいの最大500年間に及ぶ住居群の重複であると解明した。本研究成果による井出上ノ原遺跡の住居埋没に関わる年代の成果や、これまでの東京都大橋遺跡や神奈川県SFC遺跡などの縄紋中期集落での研究成果とあわせ、縄紋中期集落の形成される年代やその形成過程が復元し得る事例であり、重複する住居使用・埋没や集落形成のライフサイクルの解明へとつながる。特に集落の継続期間が長期にわたること、途中に断絶する場合もあるが住居の作り替えが連続する継続期間で数百二年に及ぶ連続居住があることは、縄紋集落の性格、特に定着度を知る上で重要な成果である。
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Research Products
(17 results)