2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520663
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Research Institution | Ancient Orient Museum |
Principal Investigator |
小泉 龍人 Ancient Orient Museum, 研究員 (80257237)
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Keywords | ウバイド / ウルク / 都市形成 / 土器製作技術 / 土器焼成窯 / 彩文 / シリア / ユーフラテス |
Research Abstract |
本年度は、国内に収蔵されている西アジアの都市形成期(ウバイド〜ウルク期)の土器資料を観察して製作技術について比較分析した。とくに、東京大学総合研究博物館に収蔵されているシリア・アラブ共和国のテル・コサック・シャマリ遺跡で出土した都市形成期の土器を詳細に肉眼観察した。また、中近東文化センターに収蔵されている都市形成期の土器資料もあわせて肉眼観察した。 こうした観察所見をもとにして成形・器面調整技法に留意しながら、ウバイド期の彩文土器の復原を試みた。まず、信楽テラコッタ粘土(約500g)で用意した粘土紐を輪積みして鉢器形を成形し、実際の土器片を製陶具としてケズリ・ナデ調整を器面に施し、黒色陶芸用絵具を絵筆で塗彩した。つぎに、郊外(早稲田大学本庄キャンパス)にて、研究協力者に手伝ってもらいながら小型土器焼成実験窯を築窯した。同地では、すでに実験窯が設置済みであったが、焼成効率の向上を狙って規格の小さい実験窯を新たに構築した。築窯後、上述の復原製作品を試験的に焼成する実験を行った。その結果、ある程度の高温状態を一定時間維持することに成功し、焼き上がった作品の器面に彩文が適度に吸着していることを確認できた。 他方、特定領域研究「北メソポタミアにおけるアッシリア文明の総合的研究」(代表:沼本宏俊)の研究分担者としてシリア・アラブ共和国へ渡航した。幸いにも現地滞在中に、ユーフラテス川流域の都市形成期の遺跡を踏査し、該当期の土器資料を現地で肉眼観察する機会を得た。その結果、シリアにおけるユーフラテス水系のウバイド土器の胎土は、イラク国境付近からトルコ国境付近にかけて、ほぼ同質な混入物を含有する、というこれまでの見通しを確認することができた。
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Research Products
(3 results)