2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520663
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Research Institution | Ancient Orient Museum |
Principal Investigator |
小泉 龍人 Ancient Orient Museum, 研究員 (80257237)
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Keywords | ウバイド / ウルク / 都市形成 / 土器製作技術 / 土器焼成窯 / 彩文 / シリア / ユーフラテス |
Research Abstract |
本年度も引き続き、国内に収蔵されている西アジアの都市形成期(ウバイド〜ウルク期)の土器資料を観察して製作技術について比較分析した。とくに、岡山市立オリエント美術館に収蔵されているシリア・アラブ共和国の都市形成期の表採土器資料を詳細に肉眼観察した。 こうした観察所見などにもとづいて、前年度と同様の成形・器面調整技法でウバイド期の彩文土器を製作した。10月初旬、前年度に築窯した小型土器焼成窯において焼成実験を行った。その結果、前年度に比べて短時間かつ少量の薪で高い温度を出すことができ、良好な焼上りとなった。また、昇温時に焚口から送風することにより、900℃以上の高温帯を約1時間持続させることが可能となった。総じて、すべての個体はウバイド彩文土器に近い硬質な焼き上がりとなり、とくにマンガン系黒色顔料はほぼ吸着することを確認した。 他方、トルコ共和国およびシリア・アラブ共和国へ渡航し、ティグリス川およびユーフラテス川流域の都市形成期の遺跡や博物館を見学し、現地の研究者と情報交換や意見交換を行った。その結果、前年度において得られた見通しをさらに強めることとなり、ユーフラテス水系のウバイド土器は、イラク国境付近からシリアおよびトルコにおいて、ほぼ同質な技術のもとで製作されていたことを確かめられた。同時に、ティグリス水系のウバイド土器は、とくに胎土に関してユーフラテス水系とは異なる様相も改めて確認できた。
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