2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520701
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坪郷 英彦 Yamaguchi University, 人文学部, 教授 (70207439)
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Keywords | 草葺き屋根 / 職人 / 職人組織 / 相互扶助 |
Research Abstract |
本年度は岡山県・鳥取県・島根県域の草屋根葺き職人調査を計画していたが、教育委員会等行政を通しての連絡に時間がかかり、一部21年度へ引き継ぐ形となった。調査は島根県内に集中し、まず平成19年に行った所在調査から明らかになった六名について調査の打診をした。教育委員会を通して調査の可否を問うたところ、2名の調査が可能となった。他の2名のうち1名は調査拒否、1名は他地区のデータと重複、1名は交渉中である。 調査は島根県邑南町1名、斐川町1名に対して、調査目的である草屋根葺きの技術、職人組織、村の相互扶助の形態についての聞き取り調査を行った。結果として地域特有の屋根形、道具及び職人組織について記録することが出来た。邑南町では段葺きと呼ばれる特徴的な屋根形を記録することが出来た。斐川町は築地松で囲まれた散居型の集落形態で著名である出雲平野に位置するが、棟の両端が反り上がる独特のものであった。この棟仕舞の技術を聞き取ることを行い、あわせて模型を入手した。北風が強い出雲平野にあってこれに対処する技術を明らかにすることが出来た。 いずれも場合も職人組織は村内の親方に弟子入りする農閑余行的な形であった。村の相互扶助はいずれの場合も明確な形では明確な形では存在せず、個々の家で材料の調達、手伝いの確保が行われていたことが明らかとなった。 職人調査とは別に屋根鋏の製作工程を映像記録した。県外への出仕事をよくした広島県安芸高田市域にあって、出仕事の職人に屋根鋏を供給した鍛冶屋での調査である。職人からの多くの注文の中で洗練された屋根鋏の型が作られていった。その型の要点を工程記録と共に明らかにすることが出来た。 その他、島根県の各市町村史にあたり、関連する資料収集を並行して行った。
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Research Products
(2 results)