2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520701
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坪郷 英彦 Yamaguchi University, 人文学部, 教授 (70207439)
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Keywords | 草屋根 / 屋根職人 / 技術文化 / 環境 / 藝州流屋根職人 / 茅場 |
Research Abstract |
研究の最終年度にあたり、鳥取県、岡山県の重点的調査を実施した。また、全体をまとめ報告書を出すための補足調査、及び技術アンケート調査を実施した。 鳥取県の草屋根葺き職人1名、岡山県の職人5名について聞き取り調査及び技術、用具調査を実施した。比較的多くの茅葺き屋根が継承され、また、高齢化しつつも多くの職人が活動していることが明らかとなった。その理由の一つは茅揚の存在である。調査の過程で、屋根葺き材料である茅の供給場所として鳥取県と岡山県の県境山間部があったことが聞き取り調査から明らかになり、補足調査を行った。茅揚が維持されている日名倉山で茅刈りの状況を映像記録した。また、日名倉山の所有者である美作市後山地区で文献調査を実施した。後山地区自治会の資料を複写することが出来、大正期からの共有林の管理記録等を蒐集した。 鳥取県、岡山県の草屋根葺き職人への調査から次の点が明らかになった。 ・津山市以北の中国山地沿いでは積雪に対処するために屋根勾配が平地より急にとられている。 ・山地では強風に対処するために千木が棟の押さえとしてつけられている。 ・屋根葺き材料としては山地では茅、平地では麦藁、海岸部では麦藁・笹が用いられた。 ・裕福な家では棟を箱棟にし、蘆で葺くという一定の仕様があった。 ・広島からの藝州流屋根職人は広く岡仙県の北部まで来ており、その名残が残る。 3年間のまとめをするために、直接聞き取り調査を行った8名に対して技術に関するアンケートを行った。 調査に協力された職人をはじめ、各市町村の教育委員会に対して成果を還元する目的で結果を報告書としてまとめた。
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Research Products
(3 results)