2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520706
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
市川 秀之 滋賀県立大学, 人間文化学部・地域文化学科, 教授 (80433241)
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Keywords | 環境 / 集落 / 水利用 |
Research Abstract |
平成22は、前年度の成果に基づき地域的な水路網調査および文献による調査を実施するとともに、研究全体の総括をおこなった。滋賀県下では、多賀町一円・同町中川原・近江八幡市馬渕などの水路詳細調査および聞き取りを実施した。また昨年度も調査を実施した鳥取県大山町羽田井・樋口においても水路詳細調査および聞き取り調査を実施したほか、大山町の甲川流域において広域の集落内水路の分布と地形の関連についての現地調査をおこない、分布状況を把握した。この結果、河川の伏流水が豊かな地域に集落内水路が多く分布することが明らかになった。また佐賀県神崎市古賀・田中・渡瀬においても詳細水路調査および聞き取り調査を実施し、低湿地における集落内水路の様相の理解に努めた。これらの地区では集落内水路を利用するための民具の調査も実施している。そのほか長野県飯田市遠山地区および岐阜県中津川市馬篭地区においても集落内水路の分布調査を実施した。文献調査としては平成19・20年度に滋賀県庁で撮影した水路関係の明治初期の古文書の読解を実施し、ホリ型の集落内水路が多くみられる野洲郡下の村誌についてはほぼ全文の入力を終えている。また全国の自治体史や民俗報告書などの検索を行い、集落内水路の全国的な状況を把握するため、関西大学図書館・東京都立中央図書館などにおいて検索作業をおこない、そのデータの入力をおこなった。結果的にはこれまで約400件の事例入力を実施している。このデータに基づき一覧表を作成した。この一覧表によって、全国的な集落内水路の分布やその利用法、地域的呼称の概観が可能となった。
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