2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 竜一 Osaka University, 法学研究科, 教授 (00257958)
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Keywords | リスク / 責任 / 法哲学 / 思想史 / 法と経済学 |
Research Abstract |
本年度は、当初の計画の通り、今後の研究の基盤固めに専念することとなった。具体的には、「責任とリスク」にかかわる思想史関連の文献渉猟、ならびに「法と経済学」をめぐる先行研究の理解に特に力を入れた。また、これと並行して、社会学会をはじめとして、法学以外の他分野の学術大会やシンポジウムにも参加し、リスクや科学技術をめぐる学際的アプローチの拡がりについても視野を広めるべく努力した。また、3月には、ロンドン大学政治経済学院(LSE)とヨーロッパ大学機構(EUI)を訪問し、EUにおけるリスク研究の現状にかんする調査を実施した。短い滞在機関だったので決して十分とは言えないものの、この調査を通じて、本研究を進めていく上での数々の貴重なヒントが得られた。 これらの研究活動の成果には次のものがある。まず、『岩波講座リスク学入門第1巻-リスク学とは何か』において、第2章「リスクと法」を執筆した。この論考では、民事責任の変遷をリスクの思想史から再考することを焦点に据えたが、考察を進めるにつれ、リスク論が刑事政策にもたらすインパクトについても目を向ける必要を痛感することとなった。次に、早稲田大学で開催されたシンポジウム「環境法における予防原則」において、環境法学の大塚直教授、憲法学の松本和彦教授とともに、イギリスにおける「リスクと法」研究の第一人者Jenny Steele教授(Risk and Legal Theory, Hart Publishing, 2004の著者)の対論者を務めた。本シンポジウムにおける充実した議論を通じ、比較法的な視点からも、本研究の方向性にかんする一定の確信を得た。
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Research Products
(2 results)