2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 竜一 Osaka University, 法学研究科, 教授 (00257958)
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Keywords | リスク / 責任 / 法哲学 / 思想史 / 法と経済学 |
Research Abstract |
本年度も、当初の計画通り、「責任とリスク」にかかわる思想史関連の文献渉猟、および「法と経済学」をめぐる先行研究の分析を継続した。また並行して、リスクや科学技術をめぐる学際的アプローチの拡がりにも視野を広めるべく努力した。6月には、国際法哲学・社会哲学連合日本支部の招きで来日したC・サンスティーン教授のシンポジウムに参加し、リスク管理と討議民主主義にかかわる諸問題について多くの知見を得たことに加えて、懇親会などの機会を捉え、予防原則にかんする教授の立場について直接に意見をうかがうことができたことは有益であった。3月には、訪問先を当初予定の米国シカゴ大学から、昨年度十分時間を取れなかった英国ロンドン大学政治経済学院(LSE)へと変更し、EUにおけるリスク研究の現状にかんする調査を引き続き行った(ちなみに、訪問先を変更した理由は、シカゴ大学訪問の主たる目的はサンスティーン教授へのインタビューであったが、教授の来日のため、当初の目標の大半が達せられたため)。 これらの研究活動の成果として、『法の理論』27号に、論文「予防原則と法の政治学」を公表した。この論考は、フランス2005年憲法改正によって、予防原則が環境憲章の一項というかたちで憲法体系の一部に組み入れられたことから出発して、予防原則が環境や健康の領域を超えて無闇に拡張適用され、憲法上の自由の侵害や予防戦争の正当化に使用される危険に対する歯止めの可能性について検討を加えるものである。
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Research Products
(1 results)