2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530009
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
苑田 亜矢 Kumamoto University, 法学部, 准教授 (80325539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直江 眞一 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (10164112)
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Keywords | カノン法 / コモン・ロー / 教令集 / 12世紀 / イングランド |
Research Abstract |
本研究は、アングロ・ノルマン教会法学について最初に光を当てたクットナー等の研究の中で紹介されているイングランドで作成された教令集や教会法学文献等を基礎として、(1)12世紀全体を視野に入れて、この時期のイングランドで作成された教令集や教会法学文献等の分析を行ない、(2)これを通じてアングロ・ノルマン教会法学の形成および展開を明らかにし、(3)さらにその法理論の特徴を、成立期コモン・ローとの相互関係を視野に入れながら、明らかにすることを目的とするものである。 最終年度にあたる本年度に実施した研究の成果については、以下に示す通りである。すなわち、12世紀後半の早い時期に作成された教会法学文献の写本の分析に基づいて、アングロ・ノルマン学派の形成と展開を跡づけるとともに、とくに「二重処罰禁止」に関する初期のアングロ・ノルマン学派の法理論およびコモン・ローの法理論の相互関係を解明することができた。具体的には、これまでの研究では、コモン・ロー側では「二重処罰」を導入しようとし、教会法側ではそれに対して「二重処罰禁止」を唱えて反対したとされていたが、(1)教会側のトマス・ベケットが主張したとされている「二重処罰禁止」原則も実は彼によって唱えられたものではないと判断されること、また、教会法学派の中でも、(2)ボローニャ学派は「二重処罰」を認める立場をとっていたこと、さらに、(3)イングランドのアングロ・ノルマン学派も独自性を展開しつつも基本的にはボローニャ学派の路線を採用していたこと、それゆに(4)アングロ・ノルマン教会法学とコモン・ローには相互関係が認められること、以上の点が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)