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2009 Fiscal Year Annual Research Report

犯罪・暴力のリスクと個人のセキュリティに関する比較法制的・憲法理論的研究

Research Project

Project/Area Number 19530019
Research InstitutionYamagata University

Principal Investigator

今野 健一  Yamagata University, 人文学部, 准教授 (70272086)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 高橋 早苗  仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (90285685)
Keywords安全と自由 / 犯罪・暴力のリスク / 個人のセキュリティ
Research Abstract

本研究は、犯罪・暴力のリスクに対する個人のセキュリティ確保のありようを、国際比較の手続を通じて総合的に考察することを目的とするものであった。収集した文献・資料の読解・分析を現在も続行中であり、総括的な成果報告の論文化にはしばらく時間を要する。ここでは、フランスについて得られた知見の一部に言及する。
近年のフランスでは、犯罪対策という意味での非安全との闘いの領域で、伝統的な社会予防モデルの有効性への疑問や法執行機関の優位性の高まりという傾向が見られる。特に治安政策のモデルとしてアメリカ・モデルへの準拠が語られることが多く、実際、同モデルに則するものと見られる諸政策が展開されている。もちろん、コミュニティを強調する英米と中間団体敵視の伝統を有するフランスとでは、議論の位相は同じではない。しかし、アメリカ的な治安政策には、伝統的なモデルを支持してきた左翼の政府とても無関心ではいられなかった。学説においては、国家中心主義的なセキュリティ確保のありようを見直し、コミュニティとその住民の参加への着目を通じて、フランス的な犯罪予防策の脆弱さを克服しようとする動きも見られ、興味深い。他方で、憲法上の個人的自由の保障の観点からは、2001年11月15日の法律(日常の安全に関する法律)を始めとする一連の安全確保・犯罪対策立法に包蔵された種々の問題点が指摘されており、憲法院の果たす役割とも関連して、その公法学的分析が求められている。

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Published: 2011-06-16   Modified: 2016-04-21  

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