2009 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける地方財政制度の比較法学的研究―国・地方関係の憲法規律の視角から
Project/Area Number |
19530023
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
福家 俊朗 Chubu University, 全学共通教育室, 教授 (40083315)
|
Keywords | 東アジア / 地方財政制度 / 国・地方関係 / 地方自治 / 比較法研究 |
Research Abstract |
(1)最終年度にあたる本年度は、昨年度までに行った中国、台湾および韓国の地方自治制度および地方財政制度の現地調査およびヒアリング調査の結果の分析作業を行った。地方財政制度のあり方は、地方が自治的に担うのに相応しい事務・事業と担うべき事務・事業の「憲法規律(基本的人権保障のための統治機構の規律)」の究明によってしか(憲)法的には制度設計が不可能である、という研究方法・視角から本研究課題を追究してきた。上記研究方法と視角の有用性は、少なくとも台湾と韓国についてはほぼ確認することができた。基本的人権の発展と民主主義の成熟度が相互に浸透・規定しあう「要」に位置づけうる地方自治の母国イギリスの「憲法」経験は、日本や台湾および韓国のような「単一国家における地方自治」のありかたにも通底してくる。その意味から、これらの近隣東アジア諸国における地方財政制度に限定せず、「多面的」な比較研究の「視座」が確立できた。 (2)一昨年度の中国での現地調査およびヒアリング調査は、北京および上海で実施したものであり、都市部の地方政府を対象にした。中国の現況を見れば理解できるように、改革開放政策の展開によって都市部と農村部の間には、住民の所得および地方政府の財政規模でも目に見える格差がある。また、単一国家における地方自治制度を採る日本、韓国および台湾と異なり、中国は人口や面積の点で連邦国家に近い。本年度の研究実施計画にも記載したが、南部の四川省重慶市、成都市および雲南省昆明市において、昨年度は四川大地震のために断念せざるを得なかった農村部の地方政府のヒアリング調査等を追加して実施した。
|