2007 Fiscal Year Annual Research Report
個人保護型行政警察立法を契機とする、警察法論再構築のための比較法的実証的研究
Project/Area Number |
19530031
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
今村 哲也 Kanto Gakuin University, 法学部, 教授 (00160060)
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Keywords | ドイツ警察法 / テロ対策 / 連邦主義警察 / 共和主義警察 / 比較法的考察 / 公法 / 行政警察法 / 警察法理論 |
Research Abstract |
現在警察には国際的テロ対策と日常生活の安全安心の確保という両極的対応が強く求められ、警察活動にかかる立法も在来の刑罰(既遂行為への可罰)を中心とする司法警察的なものからその前段的領域への活動可能性をひらく行政警察化の傾向を強めている。他方でわが国は自治体の条例制定において刑罰の創設を認めていることから、地方分権による条例制定増大により警察活動も国際・国家・自治体とその多段階化を促進する傾向にある。このような状況に対する新たな法論の模索が本研究の主たる目的であるが、その手法としては比較法的・実証的研究を選択した。したがって本年度は2度のドイツにおける理論研究(シュパイヤー行政大学院におけるセミナー参加および資料収集)とオーストリアにおける警察(法)実務家への情報収集と資料の収集でこれを実施した。これら研究により、ドイツ・オーストリアはともに連邦共和制国家であるが、前者は警察制度の連邦主義原則に立ち州警察権限(立法)に重きをおき、統一的連邦警察法を有しないが、オーストリアはむしろ共和主義警察の色彩を強くし、連邦レベルでの統一警察法典を有する。ドイツではしたがって基本法の価値理念と各州警察実体法を体系化するドグマティークの展開が重要であり、これに関する大学法学の役割はなおもその価値を減じていない。他方、学界・実務・司法における人事融通に富むオーストリアにあってはもっぱらその立法規定に警察活動が左右されこれに対する実務的対処、独立行政審判官制度、内務省人権審議会といった実務機関の機能活動が重要な役割を演じている。その意味で、シュパイヤーにおけるピチャス教授への2回にわたるインタビューとウィーンでの内務省立法部部長代理への安全警察法改正に関する取材ができたことは有意義であり、引き続きドイツにおいては理論研究、オーストリアにおいては実務研究に従事してゆく。
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Research Products
(3 results)