2007 Fiscal Year Annual Research Report
協同組合に対する独占禁止法適用除外に関する日米比較研究
Project/Area Number |
19530043
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
高瀬 雅男 Fukushima University, 行政政策学類, 教授 (90109710)
|
Keywords | カッパー=ハースマン法案 / カッパー=ヴォルステッド法案 / 反トラスト法 / 適用除外 |
Research Abstract |
本年度は、農業協同組合に対する反トラスト法適用除外を定めたカッパー=ヴォルステッド法案の米国連邦議会における審議経過を一定明らかにすることができた。協同組合に対する適用除外を定めた1914年のクレイトン法6条は、出資組合を適用除外から排除し、「正当な目的」というあいまいな限界要件を設けたため、農民たちは安心して協同組合活動ができるようさらなる反トラスト法修正を求めた。(1)1919年に連邦議会に提出されたカッパー=ハースマン法案(S.845,H.R.7783)は、クレイトン法6条を修正し、出資組合を適用除外の対象に含めるものであった。法案は上院及び下院の司法委員会に付託されたが、報告のないまま、うやむやにされた。(2)1920年5月に提出されたカッパー=ヴォルステッド法案(H.R.13731,S.4344)は、一定の要件を備えた農協の一定の活動を承認する1条と不当な価格引き上げに対して農務長官が排除措置命令を発出する2条からなる現行法とほぼ同じ内容の法案であった。法案は下院で承認されたが、上院で修正され、その修正を下院が拒否したため、廃案となった。1921年4月に再提出された(3)カッパー=ヴォルステッド法案(H.R.7313)は、前回のH.R.13731を一部修正したものであるが、下院で承認され、上院で修正されたため、その修正を下院が承認し、連邦議会を通過した。 この法律は後日「協同組合のマグナ・カルタ」と呼ばれるように、農民の協同組合に対する反トラスト法適用除外を確立したことに意義がある。
|