2008 Fiscal Year Annual Research Report
協同組合に対する独占禁止法適用除外に関する日米比較研究
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19530043
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
高瀬 雅男 Fukushima University, 行政政策学類, 教授 (90109710)
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Keywords | カッパー=ハースマン法案 / カッパー=ヴォルステッド法案 / 農務省協同組合法案 / 反トラスト法 / 適用除外 / 反トラスト法適用除外 / 農業協同組合 / 農協 |
Research Abstract |
本年度は、(1)農務省協同組合法案(1917年)、(2)連邦議会に提出されたカッパー=ハースマン法案(1919年)、(3)カッパー=ヴォルステッド法案(1920年)、(4)カッパー=ヴォルステッド法案(1921年)及び(5)各司法委員会報告を訳出し、反トラスト法修正運動、各法案の立法意思と適用除外要件、各法案の相違などを明らかにした。(1)は農務省がクレイトン法6条を踏まえて各州に非出資協同組合法を普及するために作成したモデル法案で、8州が採用した。しかし農民は出資組合に対する反トラスト法適用除外を求め、連邦議会内外で立法運動を展開した。ミラーが起草した(2)は出資組合を適用除外するためクレイトン法6条を修正するものであるが、廃案になった。(3)はヴォスステッド下院議員の3原則(法案提出は共和党議員が行う、現行法には触れず農民に権利・権限を与える法案にする、公務員が農協の法外な価格要求を規制する)を踏まえて作成されたもので、1条は組合員要件(農業生産者)、活動要件(法人・非法人、出資・非出資を問わず、組合において共同し、集団で加工・販売準備・取扱、販売、契約締結する)、協同組合要件(相互利益、1人1議決権又は8%の出資配当制限)を、2条は農務長官に差止請求を与え組合の独占力濫用を規制するものであるが、廃案になった。(4)は上院の要求を一部(共同販売機関)を取り入れたものである。同法案はさらに上院で修正され(員外利用制限)、下院がそれを承認してカッパー=ヴォルステッド法が成立した。本年度の研究は、わが国においてカッパー=ヴォルステッド法の制定過程の一部を具体的に明らかにしたものである。
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Research Products
(3 results)