2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川出 敏裕 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80214592)
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Keywords | 刑事法学 / 業務上過失致死傷 / 異状死 / 事故調査委員会 |
Research Abstract |
本年度は,研究計画に従い,以下の2点を中心として研究を行った。 第1に,前年度に引き続き,医療事故に関する裁判例の分析を行った。具体的な作業として,まず,公刊された裁判例,医道審議会における行政処分の公表例等を素材として,刑事事件として起訴され,裁判において過失責任が認められた事案と,同じく医療事故で,民事上の損害賠償が認められた事案,及び,行政処分がなされた事案とを比較し,そこでの過失の程度に差異があるのか否かを検討した。それと並行して,刑事事件それ自体において,過失責任を問う範囲に変化が見られるのかどうかという観点から,過去20年間の刑事裁判例の検討を行った。 第2に,厚生労働省に置かれた「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」が,4月に,「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する第3次試案」を,また6月に,「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」を公表し,これをきっかけに,具体的な制度設計をにらんだ議論が本格化した。そこで,医療事故に対する法的責任追及のあり方及び刑事司法制度との関係という観点から,検討会の議事録及び各界の意見の分析を行った。 第3に,同一の問題に対する諸外国の状況につき,アメリカとドイツについて,関連する文献を収集し,調査に着手した。
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