2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530060
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 哲生 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 教授 (80230572)
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Keywords | 保険 |
Research Abstract |
保険金請求権の価値が法的問題となる.場面において、保険料等以外に法的問題の処理に当たって使うことのできる評価方法をさぐることが本研究の目的である。会計学上の議論に関して、国際会計基準審議会(IASB)の第56回会議において保険負債の測定属性として現在出口価値を採用することが最小の得票差で暫定的に合意された。現在出口価値は、保険契約においては、契約上の権利・義務を他の企業に移転するための対価として保険会社が支払う見込額であり、すなわち独立した第三者への移転価格といえる。このような価値を利用することの利点としそ、契約上の権利・義務に関する将来キャッシュ・フローが適切に反映され、保険者が保険リスクを負担する(保険金支払義務を負う)ことに対する対価を測定日ごとに考えることができることがあげられる。これに対して現在出口価値を採用することには反対も多く、たとえば、現在出口価値は移転されない、または移転できないという特性のある項目に対する誤った目的となるとの指摘もなされている。そこで、現在出口価値以外の測定属性として、現在入口価値などが主張される。このように会計学上の議論も未だに流動的であり、法的問題の処理に用いることの妥当性についても明確な結論を出すことは困難であるが、単に評価が困難であるから保険金請求権の価値は利用しないというだけの議論から抜け出す途を示すことには大きな意義があると思われる。もっとも、変額保険販売における損害賠償の局面では、上記のような評価モデルを用いることには慎重であるべきであるが、遺留分減殺のような局面では十分に利用可能であると思われ、個別的な検討も必要である。
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Research Products
(3 results)