2009 Fiscal Year Annual Research Report
競争秩序と消費者-消費者の目線に立った実効的市場ガバナンス制度の構築-
Project/Area Number |
19530061
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 清治 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 教授 (20212772)
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Keywords | 消費者法 / 消費者庁 / 消費者委員会 / 消費者団体 / 契約締結上の過失 |
Research Abstract |
本研究は、消費者の目線に立った市場規制のあり方を、法的な観点から検討し、最終的には実効的な市場ガバナンス制度の構築を試みるものである。 最終年度である本年度は、当初の予定とおり、次の3つの観点から検討を進め、成果を上げた。 第1は、「消費者庁」構想と行政規制のあり方について検討し、その成果を学界のみならず、社会的に発信した。すなわち、「消費者庁」構想をめぐっては、当時の与党であった自民党及び公明党などの提出した「消費者庁」法案と民主党の提案した「消費者権利院」構想とが対立していたが、双方に利点があるとの認識のもと、消費者庁内に設けられる予定であった「消費者政策委員会」の機能拡充を衆議院の地方公聴会で唱えたところ、これが受け容れられ、同委員会を「消費者委員会」として消費者庁から独立させ、機能強化するとの方向で問題が解決された。また行政規制のあり方を考究するなかで、北海道消費生活条例の改正に携わることとなり、これまでの研究成果を活かし、不招請勧誘等、違法とされる行為類型の拡充(27類型から64類型へ)を行った。 第2は、金銭的給付請求の機能分析であり、この問題を考究する過程で、実効的な消費者行政制度に関する学問的関心がさらに高まり、各国の消費者行政を比較対照し、このような広い視野のもとで日本の消費者行政及び今般設置された消費者庁を位置づける必要性を痛感し、この点に関わる綱領的論文を仕上げた(池田清治・消費者庁および消費者委員会の設置の意義と経緯-消費者行政の変遷と各国の動向-現代消費者法5号4-12頁2009年)。研究は新たな局面に入った。 第3は、規制主体としての消費者に関する研究であり、消費者契約法の改正により、消費者団体には差止請求権が認められたが、消費者個人にいかなる権能が与えられるべきかを検討し、自身の考えをまとめた(池田清治・消費者法の独自性と実効性新世代法政策学研究2号105-117頁2009年)。
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Research Products
(4 results)