2007 Fiscal Year Annual Research Report
自治体内分権に伴う地縁組織の再編成と地域自治の新しい構造
Project/Area Number |
19530102
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後 房雄 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 教授 (20151855)
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Keywords | 自治体内分権 / 地域自治組織 / 地縁組織 / パリッシュ / NPO / 地域自治区 / 近隣政府 |
Research Abstract |
(1)研究の初年度であるので、まず、自治体改革、自治体内分権、地縁組織の歴史と現状、NPO-行政関係などに関する既存の研究文献の網羅的なリストアップとレビューを行った。そのなかで、地域自治組織に決定機能を担わせるか、実施機能を担わせるかの峻別が不十分であることによる混乱が重要な問題点として浮かび上がった。特に、全住民を参加させる強制力のない地縁組織に地域を代表する決定機能を担わせようとすることの問題性が指摘できる。 (2)それと並行して、各地における「地域自治組織」の事例を、地域自治区制度に基づくもの、基づかないものを合わせて、現地調査し、行政職員、関係住民にヒアリングを行った.豊田市、東海市、伊賀市、名張市、神戸市、大阪市などである。また、大阪ボランティア協会などNPO関係者からもヒアリングを行った。そのなかで、豊田市、東海市において、当該地区の住民全員を包括する公的区画(地域自治区ないしコミュニティ)を設定し、そこに地域を代表する決定機能を担わせ、他方、地縁組織については自発的な民間団体としての活動を期待する、という整理の方向が試みられつつあることが発見できたことは大きな成果であった。 (3)海外調査としては、今年度はイギリス調査を行った。ロンドンのLocal Government Associationの本部を訪問して、イギリスのパリッシュの歴史と現状について詳細なヒアリングを行うことができた。また、そこから紹介された若干のパリッシュ議会の訪問やパリッシュ議員へのヒアリングによって現状についての理解が深まった。 (4)以上によって、日本における研究の到達点、自治体内分権や地縁組織の現状と課題、外国における近隣政府の実例などに関する研究がある程度進展し、今後の研究の基礎固めが可能となったと考える。
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