2007 Fiscal Year Annual Research Report
1970年代後半の朝鮮半島をめぐる国際関係:同盟の再編と緊張緩和逆流の政治過程
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19530128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木宮 正史 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30221922)
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Keywords | 朝鮮半島 / 冷戦 / 日韓関係 / 日朝関係 / 米韓関係 / 米朝関係 / 同盟関係 / 米中和解 |
Research Abstract |
まず、1970年代後半の朝鮮半島をめぐる国際関係を分析するための前提作業として、1970年代前半までの朝鮮半島をめぐる国際関係史に関する刊行一次史料を収集し、検討する作業を行った。次に、韓国外交史料館所蔵の韓国外交文書や米国立公文書館所蔵の米国外交文書をスキャナーで電子ファイル化し、データベースを構築することを試みた。最後に、韓国外交史料館を2回にわたって訪問し、1975年〜1977年分の韓国外交文書の調査に取り組んだ。この時期は、ベトナムの共産化統一、北朝鮮兵士が軍事境界線付近のポプラの木を伐採しようとした米兵を殺害した「ポプラの木事件」、在韓米地上軍の完全撤退を公約としたカーターの大統領当選などで、米韓同盟が動揺し、南北間の緊張緩和が逆流する時期であるため、予想以上の興味深い新史料に接することができた。 そして、この時期の韓国外交文書に対する検討を通して、暫定的であるが、以下のような知見を得ることができた。1970年代後半、それまで、南北対話を南北朝鮮間の競争と性格づけ、競争における優位を確保するためにもアメリカの関与の必要性を強調していた朴正煕政権が、同盟体制の動揺と冷戦体制の動揺が重なる状況に直面する中で、対共産圏外交やその他、対第三世界外交に非常に積極的な姿勢を示すようになった。北朝鮮との外交競争に韓国が独自に取り組むようになったのである。 最後に、北朝鮮の核開発危機をめぐる国際関係の展開に関して、韓国の実務者や研究者との意見交換を行うことで、日本外交が、どのような選択をすることが、問題の平和的な解決に寄与しうるのかを考え積極的に提言を行った。特に、韓国の大統領選挙で与野党政権交代が起こったので、こうした作業は実践的にも重要な意味を持った。
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Research Products
(5 results)