2008 Fiscal Year Annual Research Report
1970年代後半の朝鮮半島をめぐる国際関係:同盟の再編と緊張緩和逆流の政治過程
Project/Area Number |
19530128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木宮 正史 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30221922)
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Keywords | 朝鮮半島 / 韓国 / 北朝鮮 / 冷戦 / 在韓米軍 / 日韓関係 / 第3世界外交 / 共産圏外交 |
Research Abstract |
まず、今まで収集した韓国外交史料館所蔵の韓国外交文書や米国立公文書館所蔵の米国外交文書をスキャナーで電子ファイル化し、データベースを構築することを前年に引き続き試みた。その結果、未整理だった資料も使い易くなり、研究の進展に大いに貢献した。さらに、韓国外交史料館を3回にわたって訪問し、1977年〜1978年分の韓国外交文書の調査に取り組んだ。この時期は、アメリカにおけるカーター政権が登場し、在韓米軍の撤退が決定される時期であり、そうした状況変化に対応して、一方で、韓国政府は従来の同盟関係の再構築に取り組むとともに、他方で、北朝鮮に対する外交的優位を意識して、第3世界外交、さらには対共産圏外交を模索した時期でもあった。第3世界外交に関しては修交国を増加させるなど一定の成果が上がった。しかし対共産圏外交に関しては、東欧諸国や中ソとの関係改善を試みたが、中ソ対立およびそれが中ソの北朝鮮関係に及ぼす影響などが関連して、可視的な成果を収めることはできなかった。韓国のこうした対第3世界外交、対共産圏外交に関する論文を執筆中である。 最後に、北朝鮮の核開発危機をめぐる国際関係の展開に関して、韓国の実務者や研究者との意見交換を行うことで、日本外交が、どのような選択をすることが、問題の平和的な解決に寄与しうるのかを考え積極的に提言を行った。特に、アメリカオバマ政権と北朝鮮金正日国防委員長の健康悪化問題が朝鮮半島をめぐる国際情勢にどのような影響を及ぼすのかをめぐって、韓国、北朝鮮への訪問などを通して現状分析を行った。
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Research Products
(10 results)