2009 Fiscal Year Annual Research Report
1970年代後半の朝鮮半島をめぐる国際関係:同盟の再編と緊張緩和逆流の政治過程
Project/Area Number |
19530128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木宮 正史 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30221922)
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Keywords | 韓国 / 朝鮮半島 / 北朝鮮 / 日韓関係 / 冷戦 / 緊張緩和 / 米韓同盟 / 核危機 |
Research Abstract |
朝鮮半島を取り巻く国際環境が緊張緩和の方向を示したにもかかわらず、朝鮮半島における緊張は緩和されず、むしろ、結果的に緊張激化の方向へと向かうことになった70年代中盤から80年代にかけての朝鮮半島をめぐる国際政治に焦点を当て、朝鮮半島をめぐる国際政治のメカニズムを明らかにするために、次のような実証的な歴史研究を行った。第一に、1978年~79年の韓国外交文書に関する調査を行った。その結果、在韓米軍の撤退決定が撤回される過程、また、韓国の朴正熈大統領暗殺事件に関して興味深い資料を発掘するとともに、韓国政府が北朝鮮との外交競争を意識して一貫して進めた対共産圏外交、対第三世界外交に関しても貴重な資料を蓄積することができた。この点に関する研究成果は、近い時期に単行本の一部として発表する予定である。第二に、1960年代にさかのぼるが、従来から進めていた日韓国交正常化交渉に関する研究について、日本政府の外交文書の機密解除・公開が進められたために、それを含んだ日米韓3ヵ国の外交文書を利用して、日韓国交正常化交渉の最大の懸案であった請求権問題について、既存研究では明らかにされなかった、請求権問題に関する1962年金・大平合意以後の交渉過程を明らかにすることに成功した。この点について、日韓歴史共同研究での発表を通して高い評価を受けるとともに、日韓国交正常化交渉の再評価をめぐる国際会議での発表を通して、そうした再評価を、現在進行中の日朝国交正常化交渉にどのように活かすのかという実践的な課題を提起した。最後に、日本における民主党政権への政権交代に伴って、日韓関係や北朝鮮の核開発危機をめぐる国際関係の展開に関して、韓国の実務者や研究者との意見交換を行うことで、日本外交が、どのような選択をすることが、問題の平和的な解決に寄与しうるのかを考え積極的に提言を行った。特に、こうした提言は、韓国のマスメディアなどを通して発表された。
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Research Products
(9 results)