2007 Fiscal Year Annual Research Report
貧困削減戦略時代のカナダの開発援助機関とNGO・市民社会の連携に関する研究
Project/Area Number |
19530142
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
高柳 彰夫 Ferris University, 国際交流学部, 教授 (10254616)
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Keywords | NGO / 市民社会 / グローバル市民社会 / 貧困削減 / 援助効果 |
Research Abstract |
NGO・市民社会・グローバル市民社会の役割や意義について、先行研究を検討した。NGOや市民社会組織(CSO)は国際開発の問題領域ではサービス機関の側面と批判的な社会運動の側面の二つを持つ。研究者にとっては時に相対立する二つの側面を持つ市民社会をどう性格づけるのか、また実践者にとって二つの側面をどう両立させるのかがいっそう大きな課題となっている。 世界銀行・IMFで提唱された貧困削減戦略とともに、OECD-DACにおける援助効果の議論にも注目した。OECD-DACは2005年に「援助効果に関するパリ宣言」を発表し、オーナーシップ、整合性、調和化、成果のマネージメント、相互のアカウンタビリティの五つの原則を打ち出した。しかしこのパリ宣言はもっぱら政府間の援助を念頭に置き、NGO・市民社会の役割を十分踏まえていないことが批判されている。現在、2008年9月のアクラ(ガーナ)におけるOECD-DACの援助効果に関する高級レベルフォーラムに向け、「市民社会と援助効果に関するアドバイザリーグループ」(以下、AG)がカナダ国際開発庁(CIDA)を議長に、援助効果の問題におけるNGO・市民社会の役割を検討している。本研究ではAGにおける議論を分析した。オーナーシップは貧困削減戦略やパリ宣言が強調する点であるが、これらがもっぱら途上国政府のオーナーシップを述べるのに対し、AGではより広範に市民社会や国民各層も含めた「民主的オーナーシップ」の重要性が強調されていること、市民社会の開発活動が整合性が強調される中でいかに独自性を保つのかが、注目すべき論点である。 2007年9月にカナダを訪問し、CIDAとNGO6団体(開発NGOのネットワークであるCCICを含む)を対象にインタビュー調査を行った。NGO・CIDAともに上記のAGに積極的に関与する一方で、CIDAの新パートナーシップ政策は政権交代(自由党→保守党)や内閣改造(2007年8月)により策定が遅れているがその過程と今後の見通しについて聞き取りを行った。
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Research Products
(5 results)