2007 Fiscal Year Annual Research Report
動学的ミクロ経済学による乗数理論と裁量的マクロ経済政策の厚生的意義
Project/Area Number |
19530147
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大瀧 雅之 The University of Tokyo, 社会科学研究科, 教授 (60183761)
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Keywords | 財政乗数 / 貨幣の非中立性 / 非自発的失業 / デフレイション / 均衡景気循環論 |
Research Abstract |
Economics Letters誌に'The dynamically extended Keynesian cross and the welfare improving fiscal policy'という論文が掲載された.これは貨幣の非中立性を価格の内生的な固定性を導出することで証明したものである. 本研究により,(1)市場均衡を保証する伸縮的価格,(2)経済主体の動学的最適化行動,(3)合理的期待形成仮説を前提に,ケインズ理論を再構築することに成功した.加えて当該研究はマクロ経済理論研究に対して,次のような貢献があったと考えられる.近代経済学は一般にミクロ・マクロの二分野に分けて論じられる.しかし二分野間にいかなる理論的関連が存在するかは,今まできわめて不分明である.当該研究により,マクロのケインズ理論は,貨幣経済における無限期間の動学理論として,ミクロ経済学の一部として位置づけられることになった.すなわち従来のマクロ・ミクロの二分法を不要とする一般的理論の開発に成功した.
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