2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本の住宅金融市場における信用割当と家計の持家取得行動の実証分析
Project/Area Number |
19530191
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
森泉 陽子 Kanagawa University, 経済学部, 教授 (20166383)
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Keywords | 信用割当 / 住宅消費 / 住宅ローン / 住宅維持・修理・改善 |
Research Abstract |
1) 使用する個票データ(住宅需要実態調査、住宅市場動向調査)を推定に利用可能な形で、クリーニング、整備した。さらに、両調査データには含まれないデータ、例えば、地価、物価指数データ等を地域(市町村、県)別に収集し、使用するデータに貼り付ける作業を行った。 2) 家計の最適住宅消費を抑制し、住宅の質を低下させている信用割当関数の推定行った。用いたデータは、住宅市場動向調査(国土交通省)であり、プロビット推定を行った。その結果、所得、資産による信用割当が行われていることが実証的に示された。さらに、職業では自営業の場合は信用割当を受け易いことも明らかにされた。しかしながら、他の変数、例えば、勤続年数、世帯主年齢は、信用割当の重要な指標であると言われているにもかかわらず有意には推定されなかった。 また、デフォルト・リスクに関するクレディット・スコアを作成することができるデータを入手することが出来なかった。このことにより、デフォルト・リスクの指標をいれた信用割当関数は推定できなかった。この点は20年度に別の方法により改良を試みる予定である。 3) 住宅の質を左右する家計の住宅の維持・修繕・改良行動に与える住宅ローン保有の影響について、住宅需要実態調査の個票を用いて実証分析を追加して行った。これは平成20年度において、信用割当の住宅の質に及ぼす影響をみるに当たって、家計の住宅の質への維持・改善支出がいかなる要因で決定されるかを分析しておく必要があったためである。 流動性制約下の家計を若年世帯、高齢世帯、住宅ローン保有世帯と区分して、所得の限界効果を推定した。住宅ローン保有は、住宅の質の改善の阻害要因であることが示された。これらの結果は、海外のWorkshopで発表した。また、神奈川大学ディスカッション・ペーパーに掲載した。しかしながら、得られた結果は、必ずしも満足のいくものではなかったので、平成20年度にさらに推定の工夫を行う。
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Research Products
(2 results)