2009 Fiscal Year Annual Research Report
公益事業における構造分離アプローチに関する計量分析
Project/Area Number |
19530206
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水谷 文俊 Kobe University, 経営学研究科, 教授 (60263365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正司 健一 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70127372)
浦西 秀司 福山平成大学, 経営学部, 准教授 (80362820)
浦上 拓也 近畿大学, 経営学部, 准教授 (10351561)
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Keywords | 構造分離 / 公益事業 / 規制緩和 / 民営化 / 競争政策 |
Research Abstract |
本研究の主要な目的は、日本の公益事業において実施されてきた構造分離アプローチによって、費用・価格・競争状況・投資水準などがどの程度変化したのかを分析するものである。主として取り上げるセクターは、(1)鉄道、(2)水道、(3)郵便、(4)道路、の4つである。 平成21年度の主な活動は、20年度までに収集したデータを用いた分析と、公益事業の「構造分離アプローチ」のとりまとめを行うことである。分析の主要セクターは、鉄道と水道である。まず、鉄道に関しては、水谷と浦西が国際的な鉄道データを収集していたが、欠損部分や構造分離の特徴となる情報を補完するため、ヨーロッパのOECDやUIC(世界鉄道連合)などの政策担当者にヒアリングを行い、追加データを入手した。そして、それらのデータを用いて費用関数の推定を行い、上下分離政策や機能分離政策の効果を検証した。また、水谷は分離された企業間の競争状況を作り出し、それらを評価する規制方式であるヤードスティック規制の効果の検証論文を『Journal of Regulatory Economics』誌に発表した。また、正司は、鉄道事業をはじめとする日本の交通事業の政策に関して、オランダの国際会議において口頭報告を行った。また、水道事業に関しては、浦上がイギリス・クランフィールド大学のD.Parker教授のもとに滞在し、水道事業の「合併の効果」や「規模の経済性や範囲の経済性」についての検証を行い、それらの成果をEuropean Association for Research in Industrial Economics(EARIE)をはじめとするヨーロッパの2つの学会において発表した。 以上のとおり、平成19年度から本年度末までで、当初想定した4つのセクターすべてに関して、それぞれのセクターにおいて重要となる構造分離に関係する課題について検討することができた。
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Research Products
(4 results)