2007 Fiscal Year Annual Research Report
アジアのサイエンス型産業クラスターに関する理論・実証研究
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19530260
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岡本 由美子 Doshisha University, 政策学部, 教授 (00273805)
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Keywords | イノベーション / クラスター理論 / サイエンス型産業 / バイオ産業 / ベンチャー・キャピタル |
Research Abstract |
平成19年度は、次の三つの研究成果をあげた。まず第一に、日本と同様、21世紀に入り、アメリカに追いつくべくサイエンス型産業の育成に全力を挙げている欧州の文献を調査したが、その結果、欧州においてさえも科学技術の実用化面でかなり多くの困難な面に直面しており、今後の日本イノベーション政策を考える上で、多いに参考となる結果が得られた。 第二点は、サイエンス型産業クラスターの代表であるバイオ産業を取り上げ、日本が何故、特にバイオ医薬品の開発において多きな遅れをとってしまったのか、バイオ産業育成政策に問題がなかったのかについて明らかにした。サイエンス型産業のように、かなり、各国間で共通点が多く見出されると思われるような産業においてさえも、ある政策がある国において成功をしたからといって。企業組織、文化、ビジネスのあり方が異なる国においてその政策がうまく機能するとは限らないことが日本の例を通して明確になったことは、今後のイノベーション政策を考える上で非常に意味深い結果となった。日本のバイオ産業の形式・発展メカニズムは欧州のそれとはかなりことなっており、特にアメリカの主要大学の周辺に発展したバイオクラスターを日本の多くの地方にトランスプラントすることは不可能であることが明らかとなった。 第三点は、東アジア経済が現在、二極化に向かっていることを明らかにした。その根底には、急速に進展する科学技術革新の影響が少なからすあると考えられ、今後のアジアの科学技術政策を考える上で有意義な結果が得られた。
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