2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530269
|
Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
釜江 廣志 Tokyo Keizai University, 経済学部, 教授 (60091542)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆木 健男 北星学園大学, 経済学部, 専任講師 (70438349)
|
Keywords | 市場の効率性 / 国債先物市場 / ボラティリティ / 引受シンジケート / GARCHモデル / EGARCHモデル / 国債発行市場 / 国債流通市場 |
Research Abstract |
前年度までの研究結果から、以下が明らかになった。すなわち、近年の国債先物の取引市場の効率性については、ボラティリティの非対称性の検証をすることも併せて、GARCHモデルを用いたうえでティック・データによって分析を行うと、取引に関する新たな情報として取引量とスプレッドが国債先物価格に影響を与えていることが確認できた。またボラティリティが高い状況や低い状況がそれぞれしばらく持続することが示された。これらのことから市場の非効率性が存在していると判定することができた。 そこでこのような非効率性が発生したのはなぜかを探り、発行市場と流通市場の成り立ちやその後の経緯を検討して今後の市場効率化への示唆を得るために、日露戦争後の明治43年に国債引き受けシンジケートが結成された時の状況をたどり、また国債の引き受けや取引の状況など、戦前、とりわけ明治・大正期の国債市場構造の歴史的な事実を確認して、計量的分析のための準備を行った。 あわせて類似の構造を持つと考えられる戦前の金融債市場、および地方債市場の構造に関する計量的な分析も行い、これについても市場に非効率性が残存していたことを確認した。 さらにこれらの分析に加えて、国債先物市場と比較するために、商品先物市場の効率性についても付随的に検証を行った。商品先物市場でもボラティリティの非対称性を考慮したモデル、すなわちGARCHモデルとEGARCHモデルを用いても市場の効率性仮説は支持されず、国債市場と同様に利益を生む機会が残されていることが示された。
|
Research Products
(4 results)