2008 Fiscal Year Annual Research Report
郵便貯金事業における民業補完事業の将来における維持可能性
Project/Area Number |
19530277
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西垣 鳴人 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (40283387)
|
Keywords | 郵便貯金 / 民業補完 / ユニバーサルサービス / 郵政事業民営化 / 制約的ビジネスモデル / 官業の特典 / 公的金融 |
Research Abstract |
本研究は、(1)過去における郵便貯金事業の官業の特典額とユニバーサルサービスを含む民業補完事業のコスス(官業の制約)とを比較し、その結果を土台に(2)将来における民業補完事業の持続可能性について検討するものである。 2年目(20年度)における研究成果は以下のとおりである。 1.19年度における研究結果を再吟味し、2本の論文にまとめた. (1)我々の独自推計による諸特典額は、郵便貯金事業の民営化前10年間について全国銀行協会推計の1/3から1/8程度であった。この研究結果は論文「官業の特典についての再推計」(『岡山大学経済学会雑誌』41(1)に掲載予定)にまとめられた。 (2)宮業の制約としては、ユニバーサルサービス等のコスト以上に資産運用面での制限(機会費用)が大きな要素として認められる。諸特典が消減される中でこの機会費用は郵便貯金事業の収益構造を悪化させる主たる原因であった。 この研究結果は論文「特典は制約とバランスしていたか?」(『岡山大学経済学会雑誌』41(2)に投稿予定)にまとめられた。 2.初年度の研究成果をベースとして、民営化されてなお業務制限の残るわが国郵便貯金の民業補完事業の持続可能性について研究を進めた、将来の様々なシナリオを考慮する必要から、ニュージーランド2回とイギリス2回の現地調査を行った。得られた結論は、これら民営化先進国に倣ってわが国郵便貯金が事業範囲を拡大させられるならばユニバーサルサービス維持は比較的容易である可能性が高いが、さもなければ持続困難になる可能性が高いというものである。これら研究成果は部分的にいずれも家森信善・名古屋大学教授との共著論文「郵政民営化後の個人金融分野における公的関与のあり方について」(『生活経済研究』第30巻に投稿中)及び「ニュージーランドの郵政民営化:「失敗」についての再検証」(『会計検査研究』第40号投稿中)にまとめられた。
|
Research Products
(2 results)