2009 Fiscal Year Annual Research Report
市場規律とプルーデンシャル規制を併用した金融システムの再設計
Project/Area Number |
19530284
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前多 康男 Keio University, 経済学部, 教授 (60229317)
|
Keywords | 市場規律 / 劣後債 / 預金者規律 |
Research Abstract |
金融機関に対して市場規律を働かせることができる経済主体は当該金融機関の預金者と債券保有者である.この2つの経済主体の内でも情報生産の優位性と言う観点から債券保有者からの規律付けに期待が持たれており,特に劣後債の保有者による規律付けが最も効果的であるとされている.一昨年度は,このような観点も含めて市場規律の基本的な考え方をまとめ,劣後債による規律付けに関する既存文献の整理を行なった.欧米においても我が国においても,劣後債による規律付けが効いている結果が出ている.また,預金者による規律付けに関する考察も行なった.預金者は,情報弱者であると言われているが,欧米の実証分析によると,預金者も銀行の財務内容に適切に反応していることが明らかになってきている.一昨年度のこのような結果に対応して,当該年度は理論的な部分のモデル構築を行なった.理論的モデルの開発は金融システムの安定に寄与できるものと考えている.
|
Research Products
(1 results)