2007 Fiscal Year Annual Research Report
コンテンツ開発のプロジェクト間ネットワーク戦略:映像産業の組織・制度の国際比較
Project/Area Number |
19530337
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山田 仁一郎 Kagawa University, 経済学部, 准教授 (40325311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 勝 青山学院大学, 経営学部, 助教授 (80348458)
若林 直樹 京都大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80242155)
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Keywords | コンテンツ開発 / ネットワーク / 戦略提携 / 映画 / 提携組織能力 / プロジェクト / ソーシャル・キャピタル / 制作委員会 |
Research Abstract |
本研究は、現代日本映画産業における全体的な製作提携の構造と業績の関連について、2000年代の製作委員会のネットワーク分析を通じて明らかにすることを目的とする。映像コンテンツの制作に際し、製作委員会と呼ばれる時限ネットワーク組織を分析の対象とする。製作委員会には、多様な企業が自社の事業利用を目的として参画する。低迷期であった80年代にはリスク分散を目的とされることが多かったが、90年代になると効果的な多メディア展開といった成果の増大を目的にしてマスメディア企業群中心で組織されるようになった。これらの企業群は従来の映画産業にない独特な製作手法や著作権ビジネスのスキーム等のノウハウを持ち込み、日本の映画産業の復興に大きく寄与した。近年では、アニメーション映画の製作経験を蓄積してきた出版社の影響力が増しつつある。 現代日本映画産業に於ける製作提携ネットワークの全体構造の特性とその興行成績への影響を検討するために、映画製作委員会参加企業の提携網をネットワーク分析した。分析結果から次のような構造と興行の関係が確認出来た。(1)キラーコンテンツとなるアニメーション映画は高業績だが、固定し閉鎖的な提携グループを構成している。(2)大手出版社が提供する原作をメディア企業が映画会社・製作会社・広告代理店と共に映画化するメディア・ミックスの提携パターシが一定の収益を上げている。(3)製作回数の多い企業の提携ネットウークは結合し一つの小世界になっており、日本的特性が窺えた。文化コンテンツ産業に於ける商業的な製作提携ネットワークの独特な構造と業績との独特な関連が明らかになった。これは、文化産業における提携のソーシャル・キャピタルの特徴を示すと思われるが、今後経時分析と国際比較を通じてより詳細に検討したい。
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Research Products
(1 results)