2007 Fiscal Year Annual Research Report
家電小売流通の日英比較研究-ディクソンズ社(英国)を比較の基軸として-
Project/Area Number |
19530381
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
薄井 和夫 Saitama University, 経済学部, 教授 (60151859)
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Keywords | 英国家電流通 / 欧州家電流通 / ディクソンズ / DSGI / カメラ小売流通 / 白物家電小売流通 / ブラウン家電小売流通 / 小売イノベーション |
Research Abstract |
研究計画に基づき、研究代表者(薄井和夫)は、第13回アメリカ・マーケティング史学会に参加してマーケティング史研究の分析に関する報告・討論を行なうと同時に、海外研究協力者ジョン・ドーソン教授(エディンバラ大学)との共同により、英国家電小売チェーン・ディクソンズ社(現DSGI社)のアーカイヴ調査と、関係者のインタビュー調査((1)2代目当主S・カームズ卿、(2)1994〜2007年に最高経営者をつとめたジョン・クレア氏、(3)同社の発展に重要な役割を果たしたわが国チノン関係者)を行ない、ディクソンズ社発展の軌跡に関する分析・検討を行ない、2点の共同論文-ディクソンズ社国際マーケティングのケース・スタディ(英文)とわが国著作に掲載されるディクソンズ社のマーケティング史分析(邦文、原稿提出済み)-を作成した。 ディクソンズ社の初期の成長軌道は,香港・わが国メーカーからの直接商品調達により,メーカーによる再販売価格維持拘束(1964年まで合法)を免れ,メーカーから流通の自由度を確保することによって築かれた。その後,白物家電小売カリーズの買収によって総合家電小売としての地歩を固め,小規模な中心市街地の店舗網から大規模な郊外店店舗網への転換,北欧・中央ヨーロッパなどでの積極的な小売店舗展開,英国インターネットを主導した接続料無料プロバイダーの展開(後に撤退),eコマースの拡大によるヨーロッパ小売流通の掌握,企業買収と内部成長の組合せを支える近代的トップ・マネジメント体制の構築など,漸次的イノベーションを継続的に遂行することで,多国籍的で多チャネル的な家電小売流通網を築き上げてきた。同社の展開は,メーカーの指導・拘束によってのみその存在を維持しえたわが国系列家電流通網とは根本的に異なっているが,その存在を掘り崩した独立家電チェーンの展開と共通性と相違性を有しているとみられ,わが国流通との比較分析が次年度の主要課題となる。
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