Research Abstract |
本研究は,3ヵ年計画の初年度として,コンテナ港湾の現状把握を行ったのである。研究項百は,(1)物流に関連した経済、社会要因の整理,(2)世界および我が国のコンテナ物流の動向と将来展望,(3)世界の港湾運営の現状と港湾戦略,(4)コンテナターミナルを中心とした我が国港湾運営の現状と課題,(5)我が国主要港のコンテナ港湾戦略の5点である。研究方法は,文献サーベイと東京港,横浜港,名古屋港,大阪港,神戸港の港湾管理者、港湾利用業者,国土交通省港湾局,日本郵船,商船三井,川崎汽船,港湾関係団体への聞き取り調査をベースにしている。 1990年以降,中国を中心とするアジア経済の発展により,コンテナ貨物の重心は我が国から中国大陸に移動している。このような状況の中で,我が国コンテナ貨物取扱量の世界シェアは低下の一途を辿り,我が国に寄港する欧米基幹航路が減少している。この状況が長く続けば,我が国産業の国際競争力を維持することが難しくなる。 一方,世界の港湾運営は,1980年以降,自由度の高い港湾運営を行う体制,港湾民営化の方向へと進み,21世紀に入りさらなるグローバル化の進展のもと国際的なサプライチェーン、マネジメントが展開する中で,競争力のあるロジスティクス、サービスを提供し得る港湾を目指している。我が国でも2008年度から始まる新たな国際物流戦略のなかで港湾背後圏も含めたロジスティクス拠点の整備を強調している点は評価できる。 今後は,我が国産業の国際競争力が阻害されないような質の高い港湾の戦略的な整備と効率的な運営が重要であると考える。そのなかで,港湾運営の広域化を進めるため,現行港湾法の改正までを視野に入れる必要があると提言している。
|