2008 Fiscal Year Annual Research Report
日韓中における港湾物流の競争力強化と連携方策に関する研究
Project/Area Number |
19530397
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Research Institution | Kyushu International University |
Principal Investigator |
男澤 智治 Kyushu International University, 国際関係学部, 准教授 (90330886)
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Keywords | コンテナ貨物 / 釜山港 / 光陽港 / 仁川港 / 青島港 / 上海港 / 港湾開発 / 日韓中港湾ネットワーク |
Research Abstract |
港湾を取り巻く環境は、構造的に大きな変革を遂げつつある。生産から消費に至るすべての工程が国際化した現在、海上輸送の効率化だけを求めた時代はすでに終わり、このプロセス全体をロジスティクス・システムとして捉え、全体を最も効率よく管理するサプライ・チェーン・ロジスティクスの時代に移行している。その結果、港湾もただターミナルの効率化を追求していただけでは単なる通過点となってしまい、ロジスティクス効率を極度に追求する荷主に港湾経営が影響されることになる。本研究2年目は、このようなことを念頭に置きながら、韓国(釜山、光陽、仁川)、中国(青島、上海)、北部九州港湾(博多、北九州、下関)を訪問し、港湾経営事情調査を行った。このような厳しい環境の中で、韓国や中国の大港湾は、生き残りをかけて港湾の背後地にロジスティクス産業の一大集積を形成している。例えば、釜山港や仁川港の背後地には自由貿易地域や経済自由区域を設置し、外国企業を積極的に呼び込むとともに港湾を核に新たな都市形成を行っている。特に仁川港は首都ソウルにも近く、アジアビジネス拠点としての都市形成が急ピッチで進行中である。また、コンテナ取り扱いで世界第2位である上海港は、大水深コンテナターミナルの整備と臨港新城といった新たな産業空間、都市空間を形成している。従来の港湾はそこで掛かるコストや時間を少しでも減らすことによってしか物流上の積極的な役割を見出せない存在であったのに対して、むしろ港湾に立ち寄ることでロジスティクス上の付加価値を新たに生み出す役割を与えようとする戦略である。一方、北部九州3港湾は、経済成長著しいアジア経済を取り込む中で、10都市間や市・レベルでの経済交流や産業交流が積極的に進められ、日韓中の連携が築かれている。
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