2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530422
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
杉本 徳栄 Kwansei Gakuin University, 経営戦略研究科 (50206695)
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Keywords | 会計学 / 国際会計 / 会計基準 / 收斂 |
Research Abstract |
会計基準の国際的収斂の帰結がもたらす会計基準の競争優位について調査研究を実施するにあたり、平成19年度は米国の規制動向を中心として会計基準の国際競争について検討した。会計基準の国際的收斂への対応には国家戦略が密接に関わっている。国際競争力を維持するためのマクロ的な国家戦略や経済政策の見地からも、会計基準の競争優位について検討する必要がある。とくに、会計基準の国際的收斂の展開が、(1)国家(地域)レベル(2)証券規制当局レベルおよび(3)会計基準設定主体レベルの階層構造を形成して展開されている事実を指摘し、国家(地域)レベルでの米国をEUのサミットが会計基準の国際的收斂を果たす役割について明らかにした(「SECによる会計基準の收斂と米国-EUサミットの役割」『産業経理』)。 また、会計基準の国際的收斂に関わる会計ないし会計基準の「2009年問題」について、米国証券取引委員会以(SEC)の取り組みや規制動向を詳細に整理し、その特徴などを明らかにした。とくに、SECが米国以外の外国民間発行体に対して国際財務報告基準(IFRSs)の使用を容認し、しかも会計基準間の差異について調査表を作成・開示する規制を撤廃するまでの経緯や特徴およびそこに内在する問題点などについて、学会報告や論文等を発表した。国際会計研究会第24回研究大会での統一論題報告(「国際会計基準の受け入れに関するアメリカの動向を今後の課題」)や『企業会計』掲裁論文の「IFRS受け入れを巡る米国の対応」はその研究成果である。加えて、会計基準の国際的收斂に伴いIFRSsがInternational GAAPとして成立する可能性を備えているため、GAAPの成立根拠をあらためて精査し、International GAAPのあり方について検討を加え、日本会計研究会第57回関西部会統一論題で報告している(「会計基準のコンバージェンスとGAAPの成立根拠」)。IFRSsの利用については、米国以外の外国民間発行体に限らず、米国に発行体をも対象として拡大することを審議中であるが、引き続き該当問題に対するSECによる規制動向について調査研究する必要がある。 なお、IFRSsの採用論の見地からの会計基準の競争優位については、IFRSsの全面導入を宣言した韓国の規制動向はすでに別途紹介し、検討を行っている(「韓国の国際財務報告基準(IFRSs)導入のロードマップについて」、『企業会計』第59巻第6号)。IFRSs採用論の国については、本研究期間にわたって継続的に会計基準の競争優位について検討を加える予定である。
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