2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530423
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
長坂 悦敬 甲南大学, 経営学部, 教授 (00268236)
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Keywords | MOT / 管理会計 / ビジネス・プロセス・マネジメント / 品質保証 / 業績評価 / BSC / データ・マネジメント / トレーサビリティ・システム |
Research Abstract |
MOTは、企業全体の経営革新を推進するという立場にたち、企業理念、企業目的、企業戦略と整合性のある技術戦略を企画し、これを実践すること。あるいは、ビジネス・イノベーションを創出するために、新技術知識の創生、技術資産の蓄積、技術知識の製品活用における移行過程において効率的なマネジメントを推進すること。さらには、企業が保有する技術知識体系を新たな知識体系に変容させる行為であり、知識体系の組替えにより新たな価値を創造することである。 一方、管理会計には、経営戦略の策定(strategic formulation)、マネジメント・コントロール(management control)、オペレーショナル・コントロール(operational control)という3つの経営管理のフェーズが存在するが、これらはMOTとの関わりが深いと考えられる。しかし、今までにMOTと管理会計の関わりやMOTにおける管理会計の役割について整理した研究は見あたらなかった。 本研究では、研究開発から産業化における管理会計の関わりを体系的に整理した。さらに、事業創造に関わる管理会計について、研究開発から企業価値増幅への動機付け、魅力想像のための知的資産管理、モチベーション誘発のためのプロセス評価という3つの視点から考察した。そこでは、研究開発に対して、経営戦略との整合性および収益性の2軸評価で行うとともに、第3軸として技術モチベーションを加えることが重要であること、研究開発の生産性を計測するアプローチとしてのナレッジ・マネジメントが必要であること、アブダクション・アプローチによるプロセス評価をBPMで実施することの意義を明らかにした。これらは、MOTにおける管理会計適用の新たな可能性を示唆したものである。
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