2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530428
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊藤 賢一 Gunma University, 社会情報学部, 准教授 (80293497)
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Keywords | 社会学 / 理論社会学 / 社会学史 / 個人化 / 公共圏 / マクドナルド化 / 再魔術化 |
Research Abstract |
本年度は本研究課題が目的に掲げた理論構築の作業を中心に研究を遂行したが、必ずしも当初は予想していなかった発見があった。 第一に、公共空間の希薄化・個人化傾向に関する国内外のさまざまな理論のサーヴェイに基づいて、これらを統一的に説明する理論の構築を試みた。その中で(当然予想すべき問題ではあったが)規範的基準設定の問題は避けて通れないことが判明したが、このような「問題状況の発見」そのものも理論社会学にとっては一つの研究成果であると考え、前年度からの研究で判明したRitzerの再魔術化論,(Reenchantment)の問題と関連させつつ、消費社会論一般の理論構成の問題としてこれを位置づける学会報告「消費社会論の存立構造 - Ritzer再魔術化論をめぐる考察 -」(第48会日本社会学史学会大会・鹿児島国際大学)を行った。また、そこで指摘されたいくつかの観点を織り込んだ形で同名の雑誌論文(『群馬大学社会情報学部研究論集』16巻所収)を発表した。 第二に、前年に引き続き、現代社会の各領域における社会変動に関する経験的研究に関するサーヴェイも行い、上記の理論的予測を指示する経験的根拠を収集したが、例えば、子どもの携帯電話・モバイルインターネット問題に関する教育関係者やNPOの取り組み等に関する社会情報学的な研究にも、公共空間の希薄化・個人化傾向といった地域社会の変動の問題が指摘されているなど、計画書を作成する段階では気付かなかったさまざまな社会問題との関連も判明した。この部分に関しては未発表なので、次年度の研究に取り込んで公表していく予定である。
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