2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530428
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊藤 賢一 Gunma University, 社会情報学部, 准教授 (80293497)
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Keywords | 社会学 / 理論社会学 / 個人化 / 公共圏 / マクドナルド化 / リスク社会 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であるので、「公共空間の希薄化」をもたらすメカニズムをG.Ritzerのマクドナルド化」理論とU.Beckの「リスク社会化/個人化」論を結びつけ、経験領域の社会変動(家族の希薄化・地域社会の衰退・労働環境の変化)を説明できるような統一的理論図式の構築を目指した。本研究課題を正面から扱ったものとは言えないが、Weberの官僚制化の議論の先に見通せる(見通せてしまう)未来を描くRitzer的な議論と、リスクに覆われ先が見通せない未来を描くBeck的な議論とは、一見正反対の方向を示しているように見えながら、実は相互に関連しており、ここにこそ現代社会のアクチュアルな問題構造が見えているという指摘を、社会学史の再検討という視点を導入しつつ行った学会報告「マクドナルド化理論のアクチュアリティ」(日本社会学史学会2009年度研究例会)において行った。 ところがその過程(報告の準備段階とその後の議論)を通じて、「公共空間の希薄化」という本研究課題に応えるためには、道徳や規範意識の問題と関わらせるメカニズムを特定することが不可欠であること、RitzerやBeckの理論の解釈として人々の規範意識の問題に触れていないことは不十分といわざるをえないことが判明した。当初、上記の報告を論文化する予定であったが、この反省をふまえて、さらに研究を深化させた形で発表するため修正作業に取りかからざるを得なくなった。結果的に研究期間中に論文の形で発表できなかったことは反省すべき点である。
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Research Products
(2 results)